第8章 第26章 月と太陽(1874~1878ページ)
「てめぇの力はこんなもんかァ?!そんなんで死ぬまでアイツを守れんのかよォ?!」
「心配かたじけない!だが……そんな心配は無用だ!」
本人たちは本気でやり合っているが、事情を知る傍の者から見ればなんともむず痒くなる応酬である。
もちろん2人は2人しか目に映していないので、門下生たちが観戦していることも庭が瀕死の危機に陥ってることも……が半泣きで近付いていることにも気付いていない。
いつもなら走り寄れば笑顔で迎えてくれる2人が気付いてすらくれない現状がの悲しみを増長させてしまい、至近距離で立ち止まって鍔迫り合いをしている2人の手首をキュッと掴んだ。
「どうしてそんなに怖い顔してるの?私でよければ何でも聞くから……いつもの2人に戻って」
この鬼気迫る手合わせの原因の人間が止めにかかる様子は門下生たちをひっそりと興奮させ……杏寿郎と実弥の頭をこれでもかも言うほどに冷えさせた。
涙をポロポロ流すの姿を見て2人はピタリと動きを止めて木刀を地面へと放り投げ、杏寿郎はの体を慌ててギュッと抱きしめる。
「す、すまない。これは……俺の覚悟を不死川が見るものであってだな……本当にすまないことをした。もう手合わせは中断する……泣かないでくれ、」