第8章 第26章 月と太陽(1874~1878ページ)
の言葉の途中で杏寿郎が感極まったのだろう、実弥や門下生たちが居ることなんて何のその……後ろから肩に両腕をキュッと絡ませて自らの胸に抱きとめた。
「君は相変わらず俺を喜ばせてくれる。舞が受け継がれ続ける限りや俺、そして全柱や剣士たちが確かにここに生きていたと証明してくれるのだな」
いつもなら顔を赤くしていたはずのは杏寿郎の言葉に驚き目をぱちくりとさせている。
「今の説明だけで……全て分かってくださったのですか?わぁ!すごく嬉しいです!」
喜びから頬を紅潮させ胸の前で交差されている杏寿郎の腕をはギュッと握りしめているが、この2人以外は何故そんなに喜んでいるのか分からず首を傾げている。
それはもちろん実弥も含まれているわけで……
「何だァ?どういう意味だ?雪月風火で何で俺たちが生きてた証明になるんだよ?」
この場の皆を代表した実弥の質問に、今度こそ自身が奥義名に含めた意味を説明する。
「杏寿郎君が初めに説明して下さったように、四季の美しい風景を……と言うのが雪月風火に込められた願いです。四季の移ろい変わる風景には花や蟲、それらを生み出す恋や風や霞、水やそれが流れる音、自然を支える岩、雷鳴、動物たち……それらが全て息づいています」