第8章 第26章 月と太陽(1874~1878ページ)
この門下生はどうしても実弥がの事を恋愛対象として見ているとしたいようだ。
(……わざわざあいつの面影追う馬鹿がどこにいんだよ)
「女だったら誰でもいいってもんじゃねぇだろォ……いつまでもくっちゃべってねぇで舞見とけ。この後俺の可愛い可愛い妹から素振り稽古あんだろが。そんだけ余裕なら俺が直々に稽古付けてやろうかァ?」
言われた通り2人の舞に視線を戻した門下生へ僅かに厳しい視線を向けるも、気付いているはずなのに知らんぷりをしている。
「あ、それは遠慮しときます。まぁ、師範と師範代って仲睦まじ過ぎて付け入る隙ないですよね」
即答で断ってきた門下生に溜息を着きつつ、2人の正反対にも関わらず乱れることのない舞へと視線を戻した。
舞っている時ですら互いに相手の様子を伺いながら、互いが互いを想い相手が舞いやすいように常に気を配っている。
しかもその表情は幸せに満ちており、門下生の言う通り付け入る隙などありはしない。
「それでいいんだよ。は……あいつらは誰よりも笑顔で幸せに生きるべき奴らだ。お前……空気読めねぇだろうから言っとくが、に変なちょっかいかけんなよ。煉獄が黙っちゃいねぇぞ」