第8章 第26章 月と太陽(1874~1878ページ)
「不死川さんは師範代のことが好きなんですか?」
恐れ知らずの歳若い門下生がここに1人。
慌てて周りがその者の口を押さえるも、出てしまった言葉はなかった事にならないし……実弥がそれを聞かなかったことにするなどありえない。
質問を投げかけた者以外、実弥から怒りの鉄槌が今にも下されると戦々恐々としていたが、予想外の反応が返ってきた。
「あ"ぁ"?好きか嫌いかで言やぁ好きだろうなァ。表情筋疲れねぇのかってくらい表情変えやがるし、見てるだけで飽きねぇ」
「えっ?!じゃあ三角関係じゃ……」
口を押さえられていたはずの門下生が懲りずにそれから抜け出し実弥へと突っ込んでいく。
他の者たちは押さえることを諦め、僅かに実弥とその者から距離をとった。
そんな状態にも関わらずやはり実弥は怒りを顕にしておらず、変わらずと杏寿郎の舞に視線を向けたままだ。
「お前なァ……遠慮ってもん知らねぇのかよ。そもそも俺はあいつを女としてどうこうしたいなんざ思っちゃいねぇんだ。あくまで手のかかる泣き虫な可愛い妹なんだよ。てか煉獄の嫁相手に三角関係とか……勘弁してくれ」
「えぇーー……まさかの妹落ちですか。じゃあ不死川さんは好きな人とかいないんですか?顔いいんですからモテるでしょ?師範代みたいな銀髪に真っ赤な目の女の子はそうそう見つからないでしょうけど」