第2章 プロローグ
晶「ヒースやシノにも聞いてみたのですが村の名前すら聞いたことないみたいで……それでファウストなら何かわかるんじゃないかってフィガロが」
ファ「そういう事か……」
フィ「はい、これネロから。レモンパイだって」
ファ「あぁ、受け取っておこう。フィガロ、人に聞かれたくない話があったからわざわざ僕の所まで賢者を連れてきたんじゃないのか?もてなしは出来ないが2人とも入るといい」
ファウストは部屋に入るとネロからのレモンパイを机に置き晶とフィガロに入ってくるように言った
呪い屋をしていたファウストの部屋は部屋の壁中に様々な種類の鏡がかけられ床には様々な呪具のようなものが意味ありげに置かれていた
なにか意味のある配置であろうそれらを避けながら晶とフィガロは部屋に入っていった
ファ「それで、その依頼の内容は?」
晶「なんでも、満月の夜になると村の若い男達が皆いなくなってしまうらしいんです。今回の大いなる厄災が来る以前にはそういった事は無かったようなので、大いなる厄災の影響じゃないかと思います」
ファ「居なくなった男達は無事なのか?」
晶「えぇ、夜が明けて朝になれば皆無傷で戻ってきているそうです。ただ、全員その時の記憶は無いみたいなんです」
ファ「なるほど……無事だったのは不幸中の幸いだな。だが、早急に措置すべきではあるだろう」
晶「はい、僕もそう思います。それで、地図がこの紙に載ってるのですが……」
そう言うと晶は地図が載っている紙をファウストに手渡した。黙って聞いていたフィガロも横から覗き込んでいる
ファ「ミエーレ村……聞いたことが無いな。まぁ東の国は閉鎖的な所が多いから僕が知らなくても無理はないが……この場所は北の国に近く環境も厳しいから殆ど未開の地の様なものだと思っていたが。フィガロ、お前なら何か知ってるんじゃないのか」
フィ「まぁね、と言ってもそんなに詳しい訳じゃないし名前を聞いたことがあるだけだよ。場所だって今地図を見て初めて知ったくらいだ。ただ……ミエーレ村はチレッタの友人の魔女の村だとだけ聞いたことがある」
ファ「チレッタ?あの、大魔女チレッタか……」
フィ「うん、と言ってもだいぶ昔の話だし。そんなに長生きする程強い魔女が居るのなら俺が知らないのもちょっと違和感があるな、って」