第2章 プロローグ
手を洗い席に着いた南の魔法使い達にネロがレモンパイを取り分けるとミチルはとても美味しそうにレモンパイを頬張った
ミチル「とっても美味しいです、兄様!」
ルチル「良かったね、ミチル。ありがとうございます、ネロさん」
昌「ルチル達は外で何かしてきたんですか?随分と泥だらけでしたが」
フィ「あぁ、南の国の魔法使いで魔法の特訓していたんだよ。そしたらミチルが......」
ミチル「フィガロ先生!それは言わないで下さいって言ったじゃないですか!」
ミチルはフィガロに対してぷりぷりと怒るしぐさをするとまたレモンパイを頬張り始めた
レモンパイに夢中のシノ以外の魔法使い達はそれを微笑ましそうに見ている
昌「あ、そういえば......」
フィ「ん、どうしたんだい賢者様?」
昌「いえ、ただ先ほど届いた依頼でなるべく早く対処したいものがありまして。東の国からの依頼なのですが......」
ヒース「東の国……ですか?なら俺も力になれるかもしれないです、詳しく聞かせて貰えませんか?」
晶「もちろんです。なんでも、満月の夜になると村の若い男達が皆何処かに消えてしまうらしいんです。前までこんなことはなかったようなので大いなる厄災が関係しているのではないかとの事でした」
ヒース「なるほど……確かに満月の夜というのは気になる所ではありますね。ちなみに場所はどの辺か分かりますか?」
晶「えっと、東の国の中でも上の北の国に近い場所にあるミエーレ村という所らしいです。後で依頼に乗っていた地図をお見せしますがヒースは心当たりありますか?」
晶からの問いかけにヒースは首を傾げながら申し訳なさそうに言葉を放った
ヒース「うーん、すみません賢者様。俺も東の国については詳しい方だとは思うのですがそんな村の名前聞いたこともありませんね……シノは心当たりある?」
シノ「いや、知らない。そもそも北の国に近い場所に村があるなんて魔法使いの加護でも受けてないかぎりありえない。」
ヒースから話題を振られたシノは顔色を変えずにレモンパイを飲み込んでそう答えた
晶「フィガロは何か知っていますか?」
フィガロは南の兄弟の前では頼りないダメな大人を演じては居るが実は魔法舎の中でもかなり長生きしている部類のとても強い魔法使いなのだ