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ムーンストーン

第4章 魔女



フィ「ミチルもいいね?」


ミチル「はい!ここは任せて下さい!」


フィ「うん、3人ともよろしく頼んだよ。それじゃあ他のみんなは上に行こう」


3人を置いて晶達は豪華な作りの階段をかけ上った
2階に上がると部屋がズラっと並んでいた
そこには男達が1番奥の部屋の扉に齧り付くようしして連なっている異様な光景が広がっていた
ドンドンと扉を叩き開けようとしているのが分かる


近づくにつれてどんどん強くなっていく香りにフィガロやファウストでさえクラクラとしてくる


とうとう扉の前に一行が到着してしまった
男達は後ろにいる晶達に気付いていない


男達の力に耐えきれなかった扉がガタンと外れる音がした

全開に開かれた扉からまたあの甘い香りが通り過ぎる


フィ「……っ、行こう」






フィガロを先頭に部屋に近づくと見えた中はおぞましい光景が広がっていた


あの3人を置いてきて良かった、と心底思った



アンティーク風に綺麗で可愛らしく揃えられた広い部屋
その真ん中にある大きなベッドに男達が群がっていた
なにか見えない壁に挟まれた様に皆ドンドンと空気を叩いていた


その中心では長い銀髪の女性が蹲りながら必死に何かに耐えているようだった


ファ「サティルクナード・ムルクリード」


あまりの光景に言葉を失った中でファウストが呪文を唱えた

次の瞬間男達の動きがピタリと止まり崩れ落ちる


ファ「一時的な処置に過ぎない。きっとまた直ぐに魔法が上書きされて暴れ出す」


ファウストの意図を汲み取ったレノックスはカバンから縄を取り出し男達を縛り始めた


ネロ「俺も手伝う」

レノ「あぁ、柱に……」


どこからとも無く流れてくる甘い香りに息も絶え絶えになりながら2人は男達を縛り纏めて柱に括り付けた


男達が居なくなったベッドの上はよく見えるようになっていた
顔を隠すように蹲る銀髪の女性は肩を震わせて自分を守ろうとしているようだった

フィガロは男達が縛り付けられたのを確認すると部屋の中心に近づいて行った


フィ「ポッシデオ」


フィガロが呪文を唱えるとパリンと鏡が割れたような音がしたと思うとむわりと甘ったるい匂いがへやに広がった
それに気づいた銀髪の女性が口を開く


『だめ、近付いちゃだめ……こないで』



フィ「……君がこの村の魔女かい?」



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