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君想う

第1章 桜ひらひら


「うわぁん!宇髄さぁぁん!」

カランカランと扉のベルが激しく鳴ると共にちひろは泣きじゃくりながら入ってきた

「おーちひろまた振られたのか?」

宇髄は半笑いで出迎えると同時にビールジョッキを手にサーバーからビールを注ぎはじめた

「びぃぃるぅぅう」
「あいよ」

ドンっとちひろの前にビールが置かれるのはいつものこと

「今度はどんな振られ方したわけよ」
「聞くの〜?聞いちゃうわけ〜!?」
「そんなのは口に出してスッキリするのが1番だろ」

ジョッキを両手で持ち半分を一気に流し込むと「じゃぁ聞いて!」とジョッキを置いた

「毎月家賃が足りないからってお金貸してたの」
「いやその時点で別れろよ」
「ゔっ、で、でね。昨日仕事終わってから帰るときに女と仲良くホテル街に消えてくの見かけて...今日問い詰めたら『あっちが本命だから』ってぇぇぇ!!」
「うわ、最悪」
「もぉぉ!どぉしてこんなにも男運悪いのよぉ!」

ちひろは昔から男運が悪かった。
高校時代初めて付き合った彼は実は男が好きだとカミングアウトされ
その次は何人も出会い系でセフレを探しては不特定多数と関係を持つような男
その後は合コンで連絡をとりあうようになって付き合うことになった後に妻子持ちだと判明
そして今回だ

グズグズと泣いているとカランと小さく扉が開く音がした

「おー不死川」
「先輩...またっすか」

宇髄の後輩でちひろの幼馴染である不死川実弥が来店してきた
ちひろの様子を見るなら「またか」とだいたいのことを把握した
黙ってちひろの隣に腰を下ろすと「ビール」と宇髄に注文をする

「おまえ、懲りないのな」
「だって付き合う皆んな顔がいいんだよぉぉぉ」
「顔だけで付き合ってんのかぁ?」
「違うよぉ!最初皆んな優しいのよ!?」

「はぁ」と呆れて溜息を吐く実弥
宇髄は実弥にビールを出すと「騙されやすいんだなあ」とカウンターに頬杖をついた
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