第1章 本編
大学卒業後、結局教師の道へは進まずやりたい事に全力疾走した結果、私は起業していた。ネットに繋がることができれば何処でも仕事ができるため、住居も定めず実家に住所をおいたまま全国をふらふらとし、パソコン・ケータイ片手に仕事をしていた。
様々なことに手を出していたお陰か多業種から問い合わせがくるから事業は潰れない程度に続けることができ、なんなら緩やかに右肩上がりの業績だ。
そんな中、久々の友から連絡がきた。過去の少し心臓がきゅっとなる出来事の実習で出会った、イッカクからの連絡。
―久々!元気してたか?
―うん。イッカクも長期休暇?
―そうなんだ。そんで仲間で集まるからも一緒にどうかと思って
―仲間で集まるのに私も行って大丈夫なの?場違いでしょう?
生徒だったイッカクは、ある時偶然街で再会した事をきっかけに再び仲良くなり、連絡先を交換していた。それからたまに会うようになり、こうして大学生活の節目に連絡をくれる。だが仲間で集まるのに私は邪魔だろう。会うのは別の日にして貰った方がいい気がするのだが、彼女の押しで、同日となってしまった。
(まぁ彼は日本にいないだろうし…)
実習最終で告白してくれた彼、トラファルガーくんは海外の大学へと進んだことをイッカクから聞いている。まだ彼らは大学生。医大ならば学生生活はまだ二年以上は残っているだろう。
日時を知らせる通知に目を通しながら、あの輝く金の瞳を未だに覚えている事にため息をついた。