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この身は君しか愛せない【ONE PIECE】

第1章 本編


「俺はもっとを知りたい。生徒としてじゃなくて、一人の人間…男として」
「…"先生"をつけなさい、トラファルガーくん」
「話を反らすな。俺ならお前をそのまま受け止めてやれる」
「貴方はきちんと自分の人生に目を向けなさい。努力して掴みとった最高のチャンスが目の前にあるの。こんなところでトラブルなんて起こして不意にはしないで」
「今だって、俺が掴み取りたい人生のひとつだ」

ぎゅっと両手を握りしめられ祈るかのように胸元にその手を引き寄せられる。熱くて大きな手のひらにつつまれ、近くなった瞳に見つめられて全身が火照る。バクバクと心臓の音がうるさい。

「が好きだ」

いけない。呼吸をしなければ。
息すらも忘れそうなほどその瞳に強く引かれる。
少しイケメンだからって、ちょっと共感できる部分があるからって、私自身を肯定してくれてるからって…この立場じゃ駄目だろ。彼の将来を潰しかねない。

「私は教師。貴方は生徒。それだけでも貴方の想いに応えることは出来ないのはわかるわよね…」
「…関係ねぇ」
「その想いを嘘とはいわないけれど、若い頃の感情はすぐに移り変わるものよ。周囲が急がしくなれば思い出として自然と変わる」
「…無理矢理忘れろってことか?」
「そこまでは強制しないけれど、今の想いより貴方の人生により強く影響する事に尽力なさい」
「…その優劣は、お前が決めることじゃない」

きつく握りしめられた両手を再度握った彼は、それだけ言うと背を向けて資料室を出ていった。怒気も含んだような、それでも悲しげな背を見つめ、張り詰めたように止まっていた息を深く吐いた。

「立場が違えば、受け止めたかったよ」





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