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この身は君しか愛せない【ONE PIECE】

第1章 本編


そんな事を冗談交じりに話していれば、急に黙り込んだトラファルガーくんを振り返る。
背の高い彼を見上げ、どうかしたかと問えばあまり見ない真剣な金に光る瞳がこちらを向く。
数少ない経験から、その向けられる眼差しは受けては駄目な類いのものとわかる。
口を開かせては駄目だと脳が警鐘を鳴らしはじめる。
ここ最近見え隠れしてたその瞳に、小さく身震いをした。

「俺は先生が…」
「あ、手伝いありがとうね。もう、だいじょ…」
「聞けよ」

彼の手に持つ資料を取り、棚に戻そうと背を向ける。
焦った彼の声に脳がここから立ち去れと急かす。
これまで何度もあった彼のこんな視線。生徒が先生に向けるものではなく、男が女に向けるそれ。教育実習という物珍しさからくるのかと最初は無視できていたが強くなる視線と関わろうとする行動にだんだんと自分の中で無視できなくなってきていた。
だからあと少して実習も終わるし、離れれば勘違いだったかと彼も冷静になって、同じ立場にいる子に目を向けるだろうと考えていた。

授業もこれで最後。自分にこの時間への名残惜しさがあったからか彼の手伝いの申し出に頷いた。欲をだし、寂しさを覚えて今日承諾したのが悪かったのか。

引き留められ片腕を捕まれた状態で、一歩を踏み出そうとする彼を許してしまった自分の愚かさに心で舌打ちをした。



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