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この身は君しか愛せない【ONE PIECE】

第1章 本編


久々の高校の空気にも大分慣れ、生徒の顔と名前、そして性格も大体把握できてきた頃。
廊下を歩いて担当クラスへと向かっていれば廊下に面した窓から活発な声と笑顔がひょっこり現れる。副担任としてホームルームなどに立ち会うクラスの女子生徒、イッカクさんだ。
イッカクさんは持っていた雑誌を広げ、たまたま通りかかった私を捕まえて"安眠・癒しグッズ特集"のページを指差し、どれが良いかと聞いてきた。

「ここのルームウェアお気に入りよ。肌触りがとても良いの」
「お!キャプテンと同じこと言ってる」

周りにはいつもつるむ女子達ではなく男ばかりだか、これはこれで"仲間"という括りの面子だと知ったのは最初の方。
幼い頃からの知人ばかりらしく、地元仲間が揃いも揃って地元の高校へと進学したらしい。

そして話題となった"キャプテン"とはトラファルガーくんのこと。幼い頃の遊びが今も引きずっていて、彼のあだ名となっていると聞いた。
彼に関してはもう一つ、下の学年の子らから"トラ男"と呼ばれていたのも聞いたことがある。
ツンとして大人びたクールな男子生徒だが、にぎやかな友から慕うように様々なアダ名で呼ばれているのは面白い発見だ。

物静かな彼とは正反対な仲間や友人に囲まれるのを最初は不思議に感じていたが、関わっていくうちに不思議さはなくなった。
彼らと共にいる時だけは年相応にやんちゃな面を見せていたりするし、意外にも彼は子どもっぽいところもある。熱しやすく、とても頑固。
そして仲間といると落ち着くのか、同じテンションとはいかないがきちんと"楽しい"をみんなと共有していた。

そして彼とは意外にも接点が多い。頭の良い彼には不要なのでは?と思うことでも質問しに来たりその流れで教材の片付けを手伝ってくれたりするのだ。
それが多々あり次第に質問などなくとも教材が多いときには自然と一緒に片付けてくれるようになった。
仲間以外の他人に興味ありませんよ、的な態度を取っておきながら実は極度の世話焼き体質なのか。
いつだったか下に兄弟がいたかと聞いたことがある。もちろん答えはyesだったからなんとなく納得してしまったのを覚えている。

因みに私は末っ子だ。
彼にしたら放置することのできない人種なのだろうか。
そんなこんなで授業を受け持つ日は彼と十数分のおしゃべりタイムに興じている。


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