第1章 本編
「キャプテン、帰っちゃいそうッスよ!」
「俺ら二次会に皆引っ張るんで」
「「ファイトっ!!」」
「…」
帰り支度をするなかシャチとペンギンがこそこそと耳打ちしてくる。
あの高校時代の告白の後。あからさまに機嫌の良くない俺に、こんな時だけ鋭く感を働かせた彼らは俺のへの想いが実らなかったことを悟った。下手くそな励ましにイラつき少し荒れたような気もするが、への気持ちは静かに心に落ち着いた。
何故らなら荒れているうちに違う解決策を見いだしていたから。
彼女は仕切りに立場を全面に押し、断ってきた。ならばその立場が完全になくなれば良いのだろう。卒業したら、そう思っていた。
しかし現実はあまりにも忙しく、自国を離れての生活は過度のストレスを与えてきた。まず主食がパン。覚悟はしていたがキツイ。自炊もキツイ。ドフラミンゴがハウスキーパーを送ってやると言ってきたがプライベート空間に他人が入るのは抵抗があり断わった。それにあの男の手をこれ以上借りたくはない。
持参した炊飯器と定期的にコラさんが送ってくれる米を主食に生きた。
そしてなによりの救いはイッカクがと繋がり始めたことだ。彼女が街で再会した直後電話が来た。興奮したイッカクから落ち着いて話をさせた後は自分がテンション上がった。帰国後に一から探すことを覚悟していただけに、身近な仲間が彼女の動向を把握することができるのは心的ストレスを和らげるのに一役買った。
それからというもの寝る間を惜しんで勉強に励み、飛び級を重ねて一般大学と同等の時期の卒業となった。それでも長かった。しかし実習などでこれ以上は短縮できずやむ終えなかった。卒業目処がたってからは帰国の手続きを進め、試験に合わせて一時帰国をした。さして難しくもない試験に呆気に取られつつも、はやくイッカクに彼女の居場所を聞き出したかったがの仕事で連絡が付きづらいだなんだと煮えきらない答えばかりだった。