第1章 本編
すこしチクリとした心は見ないふりしなければ。彼は確実に輝かしい未来へと進んでいる。昔の事なんて掘り返してどうするんだ。それに応えられないと突き放したのは私だ。それが勝手に落ち込んでチクチクしているなんておかしいだろう。
当たり障りのない、みんなと同じ会話。元々話の馬は合うから会話は面白く、時折混じる彼の仲間と友と楽しくすごし、時間はあっという間に終わりを迎える。
「二次会はこっち~」
張り上げるルフィとシャチの声。大多数着いていくなかで私は身近にいた人にだけ帰る旨をつたえる。仕事も自由がきくのだから良いじゃないかと引き留められるが気分的に一人が良かった。沢山集まった連絡先をちらつかせながらまた近いうちに、と約束して別れた。
楽しかった。かつての教え子(数ヵ月だが)の成長した姿に感動もする。お酒も一緒に飲めた。年が大きく離れているわけでもないのでジェネレーションギャップもなく会話が楽しい。
満足した。そう言い聞かせて皆とは反対の方向に足を向けた。