第2章 被験体
「行くところかないのなら、ここにいればいい」
笑って私を迎え入れてくれた女性、イズミは洗ったばかりの私の髪の毛をわしゃわしゃとタオルで拭きつつ満足そうに微笑む。
イズミの夫婦は子供がずっとできなくて、私を本当の娘のように接してくれたものの当の私は二人にどう接すればいいのか分からなかった。
今まで大人と言ったら私を痛くするだけの嫌な人達で、やっとできた友達たちも別の部屋に連れていって帰らぬ人とする。
そんな人達とばかり接してきたせいで二人が本当にいい人なのか分からなかった。
「ゆっくりでいいんだよ。」
不安に思うといつもイズミは頭を撫でてくれた。
優しく。
「うん……」
それでも私はうつむく事しかできない。