第6章 薬屋と少女
酒と色んな煙草の匂い。
薄暗い地下空間に押し込められたように集まる人々は、
柄の悪そうな男や化粧の濃い女たちばかりだった。
「ほんとにここにあいつらいるんだろうな」
そう小声でマイクに言うと、マイクは軽くため息をついた。
「どうだろーな、警察からの話だとここが濃厚なはずだけど」
そう言われあたりを見渡すが目当ての人間は見つからない
それにしたって何なんだここは、
耳を塞ぎたくなるほど騒がしい。
クラブという名目で開かれているこの場所は、薄暗く頭に響く音楽で人の話し声すら聞こえない。
俺とマイクはこの場所で麻薬取引をしているとある組織の人間を探していた。
うんざりした顔の俺を見てマイクは言う。
「まあお前には酷な任務かもしれないけど、これも仕事だ。しっかり情報収集しろよ」
「…わかってるよ」
「じゃあ俺はあっちの方行ってくるから」
そう言うとマイクは俺を置いて奥の方へと消えていった。
あいつはいいよな、こういうところ慣れてそうだし
そんなことを考えて周りを見渡すが探している人間は見つからない。
どうしたものか…
その場でぼうっと立ち尽くしていると、声をかけられた。
「お兄さん、そこのお兄さん」
そう呼ばれ振り返るとそこには少女が立っていた。