第2章 転入生
「とりあえず、ラギー。寮を案内してこい」
「……この格好で歩かせるッスか?」
「……。」
レオナはノクスをジッとみて、再びチッと舌打ちした。
そして、寮服のジャケットを引き出しから取り出すとノクスに投げて渡す。
「服は明日用意してやるからとりあえずそれを羽織っていけ」
「!はーい」
ノクスは白いTシャツの上からサバナクロー寮の寮服であるノースリーブのジャケットを羽織ると、尻尾をパタパタと動かした。
羽織終わるのを確認して、ラギーはノクスを連れて部屋を出ていったのだった。
ーーー
寮室、浴場、食堂にキッチン。
「ここが談話室ッス」
一通り説明してまわって、談話室のテーブル席に座るラギー。それをみてノクスも向かい側に着席する。
先にソファで寛いでいた先輩達が何人か居たが、先程の戦闘力と身に纏っている「匂い」にヒソヒソとノクス達をみて話してはいるものの、ちょっかいをかけてくるものは居なかった。
それどころか下手に関わると狩られる事になるかもしれないと思ったのだろうか、ササッと去っていったため談話室にはラギーとノクスだけになった。
「寮も結構広いね」
「サバナクロー寮だけでも結構な人数が居るから」
「食事作ったりするのも大変そうだ」
笑いながら話すノクスの耳をラギーは改めて見詰めた。
「?何見てるの?」
「……ウサギ……にしては短いし、ネコにしては長いッスよね」
「うん?……ああ!耳のこと?」
ノクスがそう言うと、コクコクと頷くラギー。
「僕は獣人属じゃなくてフェアリー属でーー」
「もしかしてノクス君って『フェアリービースト』なんッスか!?」
「!?」
ラギーは思わず立ち上がって大声をあげた。
ノクスはビクッと反応する。
耳と尻尾の毛は逆立ち、大声に怯えているのか耳を折っている。
「そんなレアキャラなんッスか?!マジで!?」
「レアキャラ……なの?」
立ったままツッコミを入れるラギーだが、当の本人はあまり分かっていないようだ。