第6章 映画鑑賞はお静かに
とある、週末。
ウチで課題をやっていた雨音の鞄に入ってた、DVD。
暇つぶし程度に、雨音が課題をやる横で見ていた。
いわゆる戦闘物?、で。
あっちでどかーん、こっちでどかーん、的な。
正直積極的に見る内容ではないな、とか思いながらもその映像に引きこまれていた。
それは雨音も同じだったようで。
気付けば。
課題そっちのけでテレビの画面を食い入るように見ていた。
「課題いいの?」
「んー」
「雨音」
「ん」
駄目だ。
全然耳に入らない。
でもまたこれやらないと雨音が教授にいじめられちゃうわけで。
「雨音」
「わ!!」
ぐい、と。
雨音の顔を両手で挟み、こちらを強引に向かせれば。
雨音は驚いたようにあたしから距離を取った。
「何よ、その態度」
さすがにむかっときて。
ずい、と雨音に迫れば。
さらに焦ったように雨音はあたしから離れた。
「頼むからあんま近寄んないで。あいつこーゆー時にいっつもタイミング良く帰ってきたりすんじゃん」
「何よそれ」
「だから、そんなかわいい顔とか、やばいんだって」
「何がやばいのよ、こっちは怒ってんのよ雨音」
「だーかーら!!頼むからもうこっち来ないで時雨頼むから!」
「はぁ?」
逃げ腰に。
壁際まで距離を取る雨音を至近距離で睨みつければ。
「ほーんと。地雷踏むのわかってて毎回ウチ来るんだから、雨音くんてばどMかしら」
真横から。
しゃがみ込んだ自分の膝に両肘ついて。
教授があたしたちを覗き込んだ。
「教授!!」
隣ではヒュ、と息を飲む雨音の青ざめた顔。
だから教えてあげようとしたのに。
課題やらないのが悪いのよ。
「今回は雨音、自業自得」
ふん、て。
雨音から視線を反らせば。
「……絶対時雨、わかってねぇだろ」
泣きそうな声だけが、耳へと届いた。
「それで雨音くん?時雨と何してたの?」