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暗殺者の愛で方壊し方

第4章 暗殺者は三度(みたび)哭く





教授は、基本忙しい。


朝早くに出勤して、夜遅くに帰ってくる。
そしてそのまま夜の『裏』の仕事をする。
いつ寝てるんだ、とか疑問にも思うけど。
そんな中でもあたしを抱くこともちゃんと忘れない。
毎晩毎晩、飽きずに疲れもせずにこっちがクタクタになって眠りに付くまで抱き潰す。




「は?教授がおかしい?」


「そう」


雨音。 
昔から弟みたいなやつで、ずっと一緒に暮らして来た。
しばらくは教授のお家で3人仲良く暮らしてたのに、出て行ってひとり暮らし、始めた。
18歳。
教授の大学の学生なんかちゃっかりしちゃってる。
ずるい。
あたしも出来ることなら真面目な教授見てみた…、もとい、勉強したいのに。
しかも最近どーやら、彼女ができたらしい。
これもこれで、ムカつく。


「時雨?ケーキ、美味しくなかった?」
「え?」
「ぐっちゃぐちゃだけど…………」

「あーっ」


呆れ顔の雨音に促されてケーキを見れば。
フォークで刺したと思われる、残骸。


「…………」

「ほら、やるよ俺の」
「え?」
「別に甘いの好きじゃねーもん。時雨に買って来たやつだし。」
「いいのっ?雨音大好き!!」


ガバァっと抱きつけば。
うざそうに顔をしかめて距離を取ろうとするかわいい雨音。
昔はベッドに良く潜り込んで来たくせに。


「頼むから、あいつの家で必要以上にくっつくな。いつ帰ってくっかわかんねーのが余計怖い」

何を思い出したのか身震いする雨音。
けっこう雨音、教授にいろいろいじめられてるから…。

「まだ折られた腕完治してねーもん。まじあの人怖すぎる」


「最近ね、それがそうでもないの」
「は?」




そう。
最近教授が、おかしい。
ひとりで外出することすら許さなかった教授が、この前は「いってらっしゃい。車に気をつけてくださいね」とか言っちゃうし。
それに何より。


「はぁ?教授が全然触れて来ない?」
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