第11章 毎日は身体が持ちません
唇が重なろうとした、その時。
部屋をノックする音が聞こえた。
「五条さん、伊地知です。夜分遅くにすみません、少し確認したいことがありまして……」
ドアの奥から伊地知くんの声が聞こえる。
リビングに居る私達とはかなり距離が近い筈だ。
ちょっとの音でも漏れてしまう。
「何?今じゃなきゃいけないこと?」
「すみません。出来れば早めに確認したいことでして……あの、辻咲さんは……」
「真白なら寝てるよ。寝不足気味で負担かけてるから起こさないで。
僕も今シャワー出たところだからすぐには出れない。
そこで話して」
「えっ、ここでですか」
「無理なら明日にして、僕まだやること残ってんだよねー」
何事も無かったかのように会話を進める悟とは反対に、この状況がバレないか不安で心臓がバクバクと騒ぎ立てる。
なんで?やっはりまだ今日の事件のことで事後処理に時間が掛かっているとか?
「は、はい……すみません。
ではここで失礼します。まずは確認事項だけですので、最終的に差異がないか返答を頂ければ……」
ポツポツと伊地知くんが話し始め、それに悟が適当に相槌をうつ。
その間も悟はユサユサと私の腰を動かす。
信じられない、伊地知くんがすぐそこに居るのに!
抗議の意味を込めて悟を睨むと、ニヤリと楽しそうに笑われた。
我慢して、と口が動く。
「ッッ、っ、ん……ぁ……」
腰を固定されて、奥深くまで突き立てられれば小さく声が漏れた。
こんなの我慢出来る訳ない。
声が漏れないように息を止めれば、酸欠で目に涙が溜まる。
そんな私を気にする様子もなくガンガンと奥を貫き続ける悟。
「は……ぁ……ゃ……」
声が抑えられないと悟を見れば、顔を悟の肩に寄せられた。
噛みな、と口が動く。
噛んだりなんてしたら悟の白くて綺麗な肌に傷がついてしまう。
あと何より痛いだろう。
「ゃ……っ、ん……〜〜ッッ……!」
そう思っていたのに、強過ぎる刺激に頭が真っ白になって差し出された首筋に噛み付く。
声を抑える為に必死になっていて加減する余裕なんてなかった。
「かわい……クタクタになっちゃって……」