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【呪術廻戦】溺愛君主は甘やかしたい

第9章 サヨナラ


優しく抱きしめられ、次第に瞼が下がっていく。



「心配かけてごめんね……あの時、もう悟に会えないと思った」



血が溢れ出して止まらない感覚、身体から体温が失われていく感覚、徐々にぼやけていく視界。
全て思い出しただけで心臓が嫌な音を立てて騒ぎ出す。
ドクドクと大きく脈打ち、不快だ。



「……悟と会えて良かった」
「それは僕もだよ。真白と会えて、真白が僕のこと好きになってくれて嬉しいよ」
「……恥ずかしい」
「言い出したのは真白でしょー?」
「ん。おやすみ」



電気を暗くして、布団に潜る。
死ぬかもしれない状況を体験して、悟が隣に居てくれることの幸せを痛感する。
死んでしまったらもう二度と悟に会うことも、触れることも出来ない。






*****





ズキズキと地味に傷口が痛み始めたせいで、早くに目が覚めてしまった。
鎮痛剤の効果が切れたかな。
窓を見ればまだ空は明るく、時刻は5時。
まだ起きるには少し早い時間帯だ。
隣に居る悟はまだ寝ている。
連日任務漬けだったから疲れは相当なものだろう。



「……ありがと」



頬に口付けて、身体を少し起こした。
途端に襲って来る痛みを堪えながら水を少量口に含む。
この痛みだとしばらく任務は厳しいだろう。
傷口が開かないとも限らない。
申し訳ないけどもう少しだけ任務は休ませて貰って、治ったら沢山働こう。
七海にも迷惑掛けてるし。




「どしたの?傷痛い?」



ゴソゴソと寝返りをうった悟が小さな声で尋ねる。
その声は少し掠れていて、いつもよりも低い。
色っぽい声に不覚にも心臓が騒いでしまったのは絶対に教えない。
言ったらきっと調子に乗るから。



「ちょっとだけだから大丈夫。
ごめんね、起こしちゃったよね」
「真白が離れた気がしたから。
……ほら、おいで」



広げられた腕の中にすっぽりと収まる。
ポヤポヤと寝惚け眼な悟は私を抱きしめ直すと、また眠りに落ちた。
サラサラと柔らかく艶のある髪を撫でて、私も目を瞑る。
2度寝は罪悪感もあるけど、でもそれを上回る心地良さがある。
今後のことは起きたら考えよう。
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