第8章 過保護じゃなくて溺愛ね
「……分かりました。やれるだけのことはやります」
「サンキュー、さっすが伊地知。
あと多分僕だけじゃ真白の分の任務はこなせないから七海にも振っといてよ」
「え、七海さんですか?」
「そーそー。あいつは真白の名前出したら断らないでしょ」
悟の話を聞いていると少しずつお腹が痛くなって来た。
ツキツキと小さな痛みが走る。
「真白?気持ち悪い?」
「ごめん、ちょっとお腹痛い」
「無理しないで。部屋戻ろうか」
「まだ話終わってないでしょ?私1人で戻れるから続けて?」
「1人で行かせる訳にはいかないでしょ」
私を抱き抱え戻ろうとする悟を止める。
「じゃ、あとよろしく〜」
「ちょっと悟、また伊地知くんに無茶を」
「あ、生徒達には言っても良いから。
てか隠せないっしょ。口止めはしてね。
真白はもっと自分のことを大事に考えなさい」
ズンズンと廊下を歩いていく。
その足取りは早いのに、不思議と揺れが少ない。
ここのところずっと悟に迷惑かけてばっかりだなぁ。
凄く申し訳ない。
「何か飲む?」
「お水飲みたい」
ベッドに私を寝かせると、冷蔵庫からペットボトルの水を取り出しキャップを開けてから手渡してくれる。
そういう細かな気遣いが嬉しい。
「悟、ごめんね」
「何が?」
「悟に迷惑かけてばかりで。仕事で疲れてるのに」
「ぜーんぜん?
今は1番大事な時期なんだから無理せずに過ごしてくれたら良いの。
このあとも子育てとかで中々ゆっくり出来ないんだから」
クシャクシャと髪を撫でてくれる手が優しい。
「ま、しばらくエッチ出来ないのが残念だけど!」
「……」
「あの、真白、ごめん冗談だからそんな顔しないで」
「手とかなら……」
「ごめん、ほんとマジで冗談。
僕も子供じゃないし1人でなんとか出来るってば〜。
そりゃシチュエーション的にはかなりオイシイけど、でもほんとマジで冗談ですー!」
ワタワタと慌てて手を横に振る悟。
悟が慌ててるのってなんだか珍しいなぁ。
一生懸命首や手を振る悟がおかしくて、少し笑ってしまった。