第15章 恋から愛に変わる時に…・前編(宗さに)※R18裏
「おや、こんな時間にどうしたんですか……?」
『…江雪さん、あの宗三の部屋に行きたいんですが…迷ってしまって…』
「それでしたら私が案内しますよ……
まだ仕事していると思います」
『ありがとうございます…』
江雪の後をついて行く香澄にぽつりと話しかける。
「宗三には負担をかけてばっかりで……
本当は兄である私が社長を引き継ぐつもりでしたが……左文字の呪いまで宗三に背負わせてしまいました……」
『江雪さんが気に病むと悲しみますよ…
あたしが宗三を支えます…』
「宗三の事をよろしくお願いします……
では、私はこれで……」
案内された宗三の仕事部屋の前で江雪は立ち去っていくとまだ寝ようとせずに一人で仕事をこなす宗三。
『宗三…?仕事忙しいの??』
「ええ、まあ…寝るんじゃなかったんですか??」
『案内された部屋が広すぎて寝れなくて…あの隣の仮眠室で寝てもいい??』
「構いませんよ…」
『ありがとう、無理しないでね』
仮眠部屋で横になり、宗三が隣に居ると思うだけで安心すると力が抜けて寝息を立てる香澄。
少し仕事を切り上げて寝ている香澄の頭を優しく撫でながら…事実(転生と刻印)を知ったばかりの香澄にどう接したらいいか戸惑うも…一緒に居たいという気持ちは消えない宗三だった…。
「宗三、今日から出張3日間だ」
「はぁ…何言ってるんですか?
聞いてませんよ、断ります」
「昨日の仕事分を終えずに寝ていたからだ
出張の準備はこっちでやってあるから
そのまま空港に」
『だったらあたしはこのまま
帰った方が良いかな…』
「駅までお送りしましょうか??」
「それは駄目です、香澄をマンションに送ってから僕は出張でも何でも行きます」
長谷部の運転する車で後部座席に並んで座る。