第14章 互いに欲しかったもの…(宗さに)※R18裏
「歩き辛いですか??」
『怖いのはなくなったんだけど、見えないと歩くのが不安定で…』
「もう暫く歩くんですけど、少し我慢して下さいね」
『へっ!?』
「ちゃんと掴まってて下さいね、落としませんけど…
スカートの裾も少し気にしておいて下さい」
(身体が浮いてる…これってお姫様抱っこされてる…??)
気遣いの方が嬉しくて…怖さを感じなくなる…
細い身体とは違って逞しい腕に身を委ねてふわふわと浮かぶ身体。
お化け屋敷を抜けて、そのまま抱き上げてる香澄を空いてるベンチに座らせる。
「冷たい飲み物買って来ますね」
『ありがとうございます…』
そう言うとその場を離れる宗三を見送り、ボーッと考え事をする香澄。
(なんか、調子狂うな…意地悪かと思えば優しくされて…)
「お姉さん一人??」
「俺らと遊ばない??」
『あの連れが居ますので結構です』
「まぁ、そんな堅いこと言わずに…」
二人組の若い男の一人が香澄の手を握ろうとすると…
バシンっと叩く音がその場を響く。
「汚い手で触らないでくれませんか??」
「痛てぇな、何しやがる!?」
「……よく見るとこっちのお姉さんもキレイだな、二人とも上玉…」
二人組の男の肩に手を乗せてぎゅうと力を入れて眉間に皺を寄せて宗三は、香澄に聞こえないよう耳元で囁きながら言葉を発した。
「はぁ…僕を女と勘違いするし、彼女を連れて行こうとしたり…
一度しか言いませんよ?
………とっとと失せろ…」
「「失礼しましたぁあぁ~!!」」
『あの、断ったんですよ…でもしつこくて…』
「僕が居ながらすみませんでした…
これを飲み終えたら帰りますか??」
『そうですね…』
もう少し遊園地を楽しみたかった気持ちもあるが、そう言われたら断る訳にもいかない。
実際大人のデートスポットとして機能してる事も分かったので帰る事に…電車を乗り継ぎ、香澄のマンションの前へと到着する二人。
『今日はありがとうございました。気をつけて帰って下さい』
「また誘ってもいいですか??」
『……今度はあたしが行きたい場所に連れてってくれるなら』
「はい、どこでも連れて行きますよ」