第12章 ○○しないと出れない部屋(鳴さに)※R18裏
その日からと言うもの演練を行う度に鳴狐は居ないか目で追ってしまう香澄。
何百とある本丸で演練では早々会える筈はない。
そんな事は香澄には分かっているがもう一度会いたいと感じていた。
***
そんなある日。
万屋へ買い物に向かう道中、偶然…鳴狐と再会する香澄。
『これはさにわどの、奇遇ですなぁ』
『やっぱり鳴狐さんとキツネさんですよ?
あの後は間に合いましたか?』
「……そうだよ、間に合った」
『それは良かったです』
『どちらへ行かれるのですか?』
『万屋まで行きたいと思いまして…』
『お供の刀剣男士はどちらへ?』
『私用の物なので…私一人で来ました』
(下着類を買いに来たなんて言えないし…)
「……こっち、行こう?」
鳴狐に手を引かれて、向かうと小さなお店が…中へ入ってみると狐の置物や狐の小物類が沢山置かれてる。
『ここは?? 狐さんのモチーフがいっぱいですね…』
「……一番のお気に入りの店」
『そうなんですね、ありがとうございます。
一緒に見させてもらってもいいですか?』
鳴狐は香澄の問いに頷き返すと一通り眺めて楽しむ。
壁に飾られた狐の絵を眺めると…その横に忽然と現れた扉に目を疑う香澄。
見間違えかと思って目を擦るが、扉は消える事はなく。
香澄は惹かれるように扉の前へと立ち、ノブに手をかけて回すと…カチャリと音を立て開いた扉に動揺しながら、中へ覗き込むと…吸い寄せられるように中へと引き込まれる。
それはほんの少し鳴狐とお供の狐が商品の購入を済ませてる時の事だった。
先程まで居た筈の審神者が居ない…。
「……どこに行った??」
『鳴狐、さにわどのの姿が見えませんね?』
「探そう…」
店内を見回しても審神者が居ない…。
何度も通ったお店に見掛けた事のない扉に違和感を覚える…。
こんな扉は無かった…。
鳴狐は扉の前に立ち、ノブへと手をかけて開いた扉の中へと入って行く…その様子を見ていたお供の狐は後を慌てて付いて行く。