第12章 ○○しないと出れない部屋(鳴さに)※R18裏
―――これはとある本丸の物語である。
審神者の香澄は演練の会場へ向かう。
食事を抜きにしたのは流石にキツいかな…。
本丸のご飯が少し恋しいけど、演練中にお腹が鳴るのは恥ずかしすぎる。
刀剣男士や審神者が利用する軽食が取れるブースへと移動する。
食券を買い、食事が出来るまで席に座って待つ事に…。
その中で他本丸の刀剣男士が一人で座ってるのは非常に珍しく思わず目線がいってしまう。
他の刀剣男士とは一緒に居らず座ってるが困ってるようにみえたから香澄は声をかける。
『どうされました?』
「………えっ??」
『お優しいさにわどの。
私はお付きのキツネ、こっちは鳴狐と申します。
鳴狐は人づきあいが苦手でございますから、代わりにわたくしめが皆様と交流しているのでございます』
『鳴狐さんとキツネさんですね、
初めまして、私の本丸にはまだ鳴狐さんが来ていないので気になって声をかけてしまいました…
ご迷惑でしたか…?』
『食事を頼んだんですが…いくら待てども暮らせどもが来なくて困ってるのです。
もうすぐ演練の召集がかかるのに…』
お供の狐がそう話をするとテーブルには食券が置いてあり、
食券を見ると頼んだ物が一緒である事に気がついた香澄。
『それは大変ですね…
私の分がもうすぐ出来る筈なので取りに行って来ます。
少しだけ待ってて下さいね?』
そう言うと香澄はテーブルを離れて自分の食事を取りにカウンターへ向かうとすぐに鳴狐とお供の狐のところへと戻って来る。
『私の分をかわりに食べて下さい』
『さにわどの、ご自分の分はよろしいのですか?』
『私の番まではまだ時間がありますから大丈夫ですよ、キツネさん気にしないで下さいね
ちょっと聞きに行って来ます』
「名前…」
『私はNO.7290328の審神者です』
「ありがとう…」
自身の真名は伏せて、No.で名乗るが審神者の顔は布地のベールで覆われてる為に見える事はない。
自分の分の食事を渡して、鳴狐の分を取りに行く。
鳴狐とお供の狐は時間がないらしく早々と食事を済ませて、その場を後にする。