第30章 いつだって突然、恋に落ちるのは(後家さに)
告白を断ってから、その場に居ずらいのも合って昼休みの時間になり姫鶴と後家は二人で食堂に向かう。
注文口のカウンターに日替わり定食を頼むと、予め準備されてるのもあり提供まで時間は掛からなかった。
そして姫鶴と空いてる席に座り食事を取りながら振って欲しくない話題を切り込んで来る。
「ごっちん良かったね、あの子と付き合うの?」
「はぁ……おつうは分かってて、そう言う事言うかな…」
「こっちは見てて面白いから」
「じゃあボクと代わる?」
「それはやだ…、あの子も俺に興味なんてないでしょ?ごっちんしか見てないよ」
「これからどうしよう…断ったけど」
「多分ね、まだ来るよ…噂をすればホラ…」
作戦会議を終えた朱里と香澄が食堂に来ていて、注文口のカウンターで頼んだ物を持ってこちらに向かってくる。
「姫鶴くん向かいの席いいかな??」
「南雲さん…?ここ空いてるからいいんじゃない?」
『あの…私もいいかな??』
「あっ、うん…どうぞ」
姫鶴の向かいの席に朱里が後家の向かいの席に香澄が座る事になり、教室よりも正面を見れることになる訳で。
『さっきは突然ごめんね、でも諦めるつもりないから』
「ボク本人にそれ言うかな…断りづらいよ?」
『だったら付き合ってくれる?』
「……はぁ、だから無理だって」
『困ってる顔もカッコいいな…さっきはポロッと口に出したから反応とか見てなかったから』
「……ボクの話聞いてる??」
『聞いてるよ、でも気持ちがいつ変わるか分からないでしょ?』
「なして…そんなに前向きなの」
『だって好きなんだもん、学校で会う前から…』
「……??どこかで会った?」
後家の言葉に覚えていない事を確信した香澄は『桜の木の下で会った時から…』と言い続けようとした言葉を言わず飲みこんだ。
「おつう、もう食べ終わったから行こうか」
「ごっちん早いね、じゃあ南雲さん達はゆっくり食べててね」
そう言って食堂を二人で去って行く姿を見送った朱里と香澄。