第28章 ふたつの恋のシグナル(宗さにメイン)後編・その2※R18裏
『須美佳ちゃんから聞いたけど…クリスマスケーキ…あたしも食べたかったな…』
「そう言うと思って…貴方が寝てたホテルを予約してます…卒業式のお祝いのケーキとシャンパン付きで」
『でもお母さんとお父さん…許してくれるかな?』
そのタイミングを見計らったように香澄のスマートフォンがLINEの通知音を知らせる。
"卒業おめでとう、今日は外泊を許すのでお祝いしてきなさい…明日はお家に帰ってくる事… 母より"
返信をすぐに返すと、美術室を後にしてホテルに向かうと香澄が一人で泊まったホテルよりも広くて部屋、特別ルームに通される。
食事が出来る大きなテーブルには[ローストビーフ、コーンスープ、マリゲリータピッツァ]が並んでいて…。
香澄が食べたがっていたケーキには"卒業おめでとう"とチョコソースで書かれていて、アールグレイが生地に練り込まれた甘さ控えめのケーキとノンアルコールのシャンパンも並んでる。
「せっかくなので…食事から頂きますか…」
そう言って向かい合わせに座ると…シャンパンを二人分のグラスに注ぎ入れる宗三。
入れ終わったグラスを香澄に差し出すと、お互いにシャンパンの入ったグラスを軽く当ててチンっと小さな音を立てて…
「卒業おめでとう…乾杯…」
『ありがとう…乾杯…』
少しだけピリッと辛みがあるけど、食事の味を邪魔しない優しい味わいに、食事も進む訳で二人分の食事が綺麗になくなると。
食事の終わったテーブルからベッドルームに移動すると、サイドテーブルには小さな箱と一枚の紙を置いて。
宗三が小さな箱を開けるとダイヤモンドが輝いた指輪で、紙の方には婚姻届の文字が目に入る。
夫の欄は宗三の部分は全て記入が終わって、証人の欄に香澄の父の名前と宗三の友人である長谷部の名前が書かれていて、残るは妻の部分が空欄になっている状態な訳で。
「改めて…香澄…僕と結婚して下さい」
『……あたしを宗三の側にずっと一緒に居させて……大好きだよ……宗三…』
ベッドの上で再び愛し合うのだった。