第28章 ふたつの恋のシグナル(宗さにメイン)後編・その2※R18裏
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1月:冬休み明け
冬休みが終わって登校しても、先生は学校へ来なかった。
担任からの説明は"左文字先生の都合で言えない"の一点張りで、美術の授業はなくなっても進路に影響はなくて、美術に興味のない生徒の一部は喜んでもいた。
二週間も過ぎると身体の赤い証は消えてしまい。
先生がくれたピルを飲んでいたおかげで予定通り生理はきてしまった。
始業式が終わって香澄は一人で美術室に向かう。
ガラーンとした教室に宗三が居ないという現実がじわりじわりと実感が湧いてきて。
閉めたはずの扉がガラリと開いて、そこには須美佳の姿が一人…心配そうにしていた。
「香澄ちゃん……あの…大丈夫??」
『あたしは大丈夫だよ…須美佳ちゃんは後輩くんと上手くいってよかったよ』
「ありがとう…でもこれも左文字先生と香澄ちゃんのおかげなんだけど…」
『………先生……あたしの事…嫌いになっちゃったのかな…?』
「そんな事ないよ!!だって香澄ちゃん事お願いしますって、私伝えたよ…なのになんで…左文字先生…香澄ちゃんの事…放っておくの…」
不安そうに香澄が呟いた言葉に須美佳が声を荒らげると悲しそう顔をして、その目には涙が溢れて。
『須美佳ちゃん…なんで泣いてるの』
「だって……香澄ちゃんが強いから…代わりに泣いてるの…」
香澄はびっくりしながらも、自分の為に涙を流してくれる須美佳を抱きしめて和ませると。
『ありがとう……あたし諦めないから…』
「あっ、香澄ちゃん……この縁結びのお守りなんだけど貰ってくれないかな?」
須美佳はスカートのポケットから取り出した橙色のストラップを見せる。
『カワイイ~!こんなどこで買ったの?』
「クリスマスの日に電車で帰る時に駅の近くに神社があったの…」
『あたし…クリスマスの日…ずっと寝てたから知らないんだ…教えて…?』
「うん、いいよ」
須美佳はクリスマスの日に合った出来事を話し始める。
モデルの期間中にご飯を用意してくれたのが二人の男性だった事
クリスマスケーキを持たせてくれて電車の中で食べた事
レシピを教えてもらう為にホテルへ招待された事