第28章 ふたつの恋のシグナル(宗さにメイン)後編・その2※R18裏
そして手を繋ぎ、二人で玄関の方に向かって行く。
二人を見送り後ろ姿を見ながら燭台切と長谷部はボソッと呟いた。
「初々しいね…」
「牽制し過ぎだけどな…薬研のやつ…」
宗三の車が止まっていて須美佳と薬研は車に乗り込んで、後部座席に二人で並んで座るが無言のままで
そんな二人を見かねて車の運転をしながら宗三は話掛ける。
「はぁ…付き合い始めて何か喋りたいけど喋れない状況ですか…?
如月さんが居ないからって…二人とも静か過ぎますよ…」
「宗三…そういう事言うなよ…」
「……あの左文字先生、ありがとうございました」
薬研は気恥ずかしそうに視線を逸らすと、須美佳はお礼の言葉を口にする。
「僕は何もしてませんけど…秦さんが頑張ったからじゃないですか…?
それに薬研のマフラーも似合ってるんじゃないですか…」
「あぁ…すげーあったかくて俺は気に入ってるけどな…」
薬研は嬉しそうにマフラーで緩んだ口元を隠すと。
「薬研くんにマフラーを渡せたのも…苦手な油絵が描けたのも…左文字先生がアドバイスしてくれたからですよ」
「もうすぐ着きますから…降りる準備をしておいて下さいね…
早く二人っきりになりたい気持ちも分かりますが…とりあえず駅の近くの神社に行って縁結びのものを買ったらどうですか??
薬研は貰ってばかりでお返しもしたそうですし」
「っ!!余計な一言多い!!ってなんで分かるだよ!」
「付き合い長いですから…分かりますよ」
「左文字先生送って貰ってありがとうございました、あの…香澄ちゃんの事…よろしくお願いします」
「宗三、じゃあ冬休み明けてからな」
「………えぇ、そうですね
二人とも気を付けて帰って下さい」
薬研と須美佳の背中を見送りながら、ため息を吐くと…。
宗三の小さな異変に気づかなかった事を後悔することになるなんて。
乗る電車に余裕があるからとすぐ近くにある神社に向かい、縁結びのお守りを選ぶ。
派手でもなく控えめなものでストラップが一番良いと考えて、縁結びのストラップのデザインは1種類でも持ち手の紐の色違いが並んでいて
須美佳は桃色を、薬研は紫色を、紐の色は違うだけでお揃いのものにする。