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木洩れ日の休息・短編集【刀剣乱舞/R18】

第27章 ○○しないと出れない部屋(後家さに)※R18裏


本丸の門まで和臣は一人で向かうと…時の政府から迎えの者が来ており…その者と一緒に和臣は一度も振り返らず…本丸を後にした。
振り向いてしまうと…心配を掛けてしまう…ここに居たいと揺らいでしまう…和臣なりの決意だった。

***

現世に帰還してから少し経った時…いつもと変わらない現世の日常…近道になる公園を横切る和臣…。

飛び出したボールを取りに車道へ出た子供は車を確認しておらず…向かってくる車は慌ててブレーキを踏むが間に合わない…。

そう思うと身体が勝手に動いていた…。
車に轢かれそうになった子供を突き飛ばし…かわりに和臣が車に轢かれた…。

辺りは騒然とし、携帯電話を取り出し救急車を求める人の声…遠くから聞こえるサイレンの音…騒がしい筈なのに…意識が遠退いていく…。
これが"死"を意味する時には…もう……。

……僕の娘を頼むよ、国広…五虎退…、僕が産み出した刀剣男士達…本丸と共に生きてくれ……。


あまりに突然の事に驚きを隠せなかった…霊安室には横たわった父親の変わり果てた姿に…香澄はその場に立ち尽くし、麗香は大粒の涙を流しながら二度と起きる事のない父親にすがり付いていた…。
庇った子供は無事だったが交通事故死…優しい和臣らしい死だった…。

葬儀を取り仕切る事になり喪服を身に纏った香澄は…妹の麗香には心配かけまいと涙を見せる事はしなかった…。
麗香の身に纏ったのは喪服ではなく学生服…未成年の16歳で、まだ周囲の支えが必要なのだから…26歳の社会人である姉の自分が支える決意を胸にした香澄。

無事に葬儀を終えた後に時の政府の者が香澄の下へと和臣の意思を伝えに来るが…"二年間待って欲しい"と妹が18歳になるまで現世に居たいと告げると…。
香澄の意見を尊重しその場を去っていた…。

後日、香澄と麗香の二人で住む新居に時の政府から一通の封書が届く…。

2年後に迎えに来る事…もし拒絶をするのであれば本丸と刀剣男士も時の政府によって消去されると…審神者に関する記憶を全て消すと…。

同封されている契約書に香澄がサインを施すとその契約書は香澄の手元からスーッと消えていった。

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