第25章 ふたつの恋のシグナル(薬さにメイン)後編・その1※R18裏
「いつも弟達が居て騒がしいというか…部屋もあんまり広くないからな…
って、絵の描く時間過ぎてないか??」
部屋にある時計を見てみると一時間近く過ぎていて、残り一時間しか絵を描けない状態になってしまった。
「…あっ、そうですね…
でも仕方ないですよ、残りの時間で少し描かせてもらっても大丈夫ですか??」
そう言いながらベッドから降りて部屋を移動しようとする須美佳をみて…薬研は付いて行きながらもこう言葉を洩らした。
「…宗三には俺が怒られるから時間ずらして今から2時間みっちりやろうぜ?」
「でも……」
「…俺の不注意だからさ、秦先輩には迷惑かからないようにする…
だから描いてくれないか?」
「…分かりました、でも怒られるなら一緒に怒られましょう?
薬研くんだけではなく…私も怒られます…」
「あぁ…分かった」
そう返事をすると黙ったまま座りモデルとして努める薬研とイーゼルスタンドの絵の前に座る須美佳。
木炭を手にして10分ほどした後に下書きを終わらせた。
紙のパレットに絵具を並べていき、フラットの筆を手に取りキャンバスに塗りを重ねていく。
その手に一度もペインティングナイフは持たれる事はなく、筆をひたすら動かしていった。
須美佳の筆が完全にピタっと止まりサイドテーブルに紙のパレットと筆を置くと「薬研くん、描き終わりました…
こっちに来てもらっていいですか??」
その言葉に薬研は立ち上がり、須美佳の方へと近づいて行く…描き終わった絵を見ながら
「すごいな…これ、秦先輩って本当に油絵苦手か??」
「左文字先生の評価が知りたいですけど…でも薬研くんに先に見て貰いなさいとの事なので…」
「宗三が??
なんでまたそんな俺に見せる話になってるんだ?」
「……もし薬研くんが絵を気に入ってくれたらプレゼントとしてあげてはどうかと言われまして…」