第24章 ふたつの恋のシグナル・中編(宗さに・薬さに)R18
『遅かったね、どうしたの??』
「うん…ちょっと髪留め探してた…」
『須美佳ちゃんは髪の毛長いから洗わない感じ??』
「自分の部屋で洗った方が迷惑かけないかなと…時間も掛かっちゃうから、薬研くん待たせちゃうと風邪引いちゃうかも」
『心配なんだね…でもあたし達も風邪引いちゃうとダメだからさ
温泉に浸かるのがメインで良いかもね』
支度を済ませた二人は階段を降りて行くと居間には薬研と宗三の姿が。
宗三を先頭にアトリエとは逆方向に向かう長い廊下を歩くと、竹の柵で間仕切りされてるが湯気だけチラッと見える。
『温泉って露天なんだ…すごい』
「…露天風呂好きだな、私銭湯とか絶対に行っちゃうんだ」
「そうですか…?結構普通だと思ってましたけど」
「先輩達から先でいいよな??
身体冷えてるだろうし」
「僕はそれで構いませんよ」
『じゃあお先に行ってくるね』
「なるべく早く済ませますね」
別れて脱衣場に入ると床暖房で足元は温かくて快適だった。
身体を休める為に椅子も何脚か置かれていて男性陣を少し待たせても大丈夫かもと言う安心感もありながら須美佳は髪の毛を束ねて髪留めをして濡れないようにし、脱衣を済ませると二人で入ってきた脱衣場の扉と逆方向にある硝子の引き戸を開けると露天風呂の広さに圧倒されながらも洗い場を探すけれども何度辺りを見てもないので掛湯を多めにする。
『左文字先生ー洗い場ないのは何でー??』
「……掛け流し源泉なので、洗い場を造らなかったんですよ」
「掛け湯後に湯船に浸かっても大丈夫でしょうか??」
「そうですね、大丈夫ですよ」
その言葉を聞いて安心した二人は湯船に向かいゆっくり浸かる。
掛け流しの源泉と聞いて熱いのかと思ったが丁度いい湯加減で足を伸ばしリラックスしていた。
身体と髪を洗う必要がないので、身体が温まったところで湯船から出る。
『左文字先生ーあたしたちもう上がるねー』
「脱衣場に入ります」
そう一言声を掛けると硝子の引き戸を開ける。