第24章 ふたつの恋のシグナル・中編(宗さに・薬さに)R18
『左文字先生は知ってたの??
後輩くんの気持ちも須美佳ちゃんの気持ちも』
「えぇ…知っていましたよ…薬研の気持ちの方が最初にですが…」
『応援してるんだ…それはあたしもだけど後輩くんだったら須美佳ちゃん任せられるから』
「でもあとは本人達次第でしょう…見守りますか」
須美佳は暫くするとリンクサイドの壁を使いながら端の方で滑るが…そんな姿を見て薬研は心配になり声をかけた。
「さっきみたいのが不安だったら俺の腰辺りを持っててくれると上手く滑れるんだけど…」
「でも薬研くんに迷惑かからないですか…??」
「迷惑じゃないぜ、そうやって端のほう滑っても楽しくないだろ??
もっと確実な方法だったら秦先輩の後ろを如月先輩に俺と同じように腰の辺りを持っててもらったら絶対に大丈夫だ」
「…うーん、やってみようかな」
「如月先輩ー!」
『後輩くんどうしたの??』
「俺が先頭で滑るんで、秦先輩の腰の辺り持ちながら滑れそう??」
『そういう事ならあたしは大丈夫だよー』
薬研を先頭に須美佳は薬研の腰の辺りをぎゅっと掴む、香澄は須美佳の後ろに回り込み腰の辺りを支えるように手を添えた。
電車ごっこの要領で一列になり薬研がリンクを滑り出すと後ろに居る須美佳も香澄も釣られて動き出す。
リンクで滑る楽しさを噛みしめながら須美佳は途中に休憩を挟みながら薬研や香澄の滑る姿をベンチに座り見ていた。
スケートをそれぞれ楽しみながら時間は刻々と過ぎていた。
「少し早いですが帰りますか…?」
『うん、楽しかったからもう大丈夫だよ』
「私も大丈夫です」
「俺をもう十分かな…」
リンクの外へ出るとベンチに座り借りたスケート靴を脱ぎ、靴を履き替えてるとウィンドブレーカーを脱いで軽く畳むと受付に繋がる扉へ向かい、返却口へスケート靴とウィンドブレーカーを戻すと施設を後にする。