第24章 ふたつの恋のシグナル・中編(宗さに・薬さに)R18
『二人とも大丈夫!?』
「如月先輩…俺は大丈夫だから、秦先輩を壁まで誘導してくれないか??」
『分かった、須美佳ちゃんあたしの手に掴まって』
「……香澄ちゃん、ありがとう」
須美佳は香澄の手に掴むと香澄が須美佳の身体を起こして壁に連れて行くと、薬研は自分の身体を起こしてリンクの上に立つ。
『後輩くんは大丈夫そうだね、須美佳ちゃんはベンチで休む??』
「……うん、そうするよ」
『じゃあ後輩くんに伝えてくるね』
須美佳をリンクサイドのベンチまで送ると香澄はスケートリンクに戻っていった。
……薬研くん大丈夫かな
冷たいリンクの上で寒くなかったかな…
今自分の居るところは入ってきたところとは違うベンチで自動販売機も近く…
温かい飲み物で身体を温めて貰いたいと考えた。
ふらつく足元で自動販売機に向かい、ウィンドブレーカーのポケットに手を伸ばし小銭入れを取り出しお金を入れホットココアのボタンを押して…缶を取り出し後ろを振り返ると。
「秦先輩、寒いのか??」
「…薬研くん……!?滑ってなかったんですか??」
「心配になってそれどころじゃなかった…」
「私は…薬研くんが庇ってくれたので大丈夫ですよ…あの薬研くんの方が心配で…これ良かったら飲んで欲しいんですけど…」
「…じゃあ言葉に甘えるけど、秦先輩の分も買って一緒に飲まないか??」
「…はい、じゃあ私も買いますね」
そう言って2本目のホットココアを買うと二人でベンチへ向かい、温かいココアを飲みながら休憩していた。
宗三と香澄はリンクで滑りながら二人の方を見ながら話をしていた。
『左文字先生、わざとでしょ??』
「はぁ…何の事ですか…??」
『だって須美佳ちゃんが運動全般苦手なの知ってたでしょ?
後輩くんといい感じになってるし』
「…荒療治と言いますか、でも薬研は秦さんに教わるだけって言うのはちょっと遠慮してたかと思うので…」