第24章 ふたつの恋のシグナル・中編(宗さに・薬さに)R18
「僕は靴をだけで十分ですけど、必要ならウィンドブレーカーを使って下さいね」
『うーん…久しぶりだし、ウィンドブレーカーも必要かな?須美佳ちゃんは??』
「…私はあんまり自信がないから着たいな…」
「…俺も着とくか」
各々自分の靴のサイズとウィンドブレーカーを手に取ると宗三は一番近くの大きな扉に向かい開けると、一面にはスケートリンクが広がっていてそのリンクサイドには休憩用のベンチが幾つもあるが一番扉に近いベンチへと座り、スケートリンクを保持するための空調で肌寒さも感じる。
ウィンドブレーカーを着るとその寒さは半減した。
「じゃあお先に軽く滑ってきますね…」
『あっ、左文字先生待ってくれないんだ…』
少し不満を溢した香澄の言葉は届く事がなく、先にスケート靴を履き終わってスケートリンクに向かう宗三。
「香澄ちゃん…私もう少し時間掛かっちゃうから先行っていいよ??」
『…うーん、でもな』
「如月先輩、俺が付いてるから行ってきていいぜ」
『じゃあ久しぶりだけど先に行ってくるねー』
須美佳にヒラヒラと手を振りながらスケートリンクに向かう香澄は、リンクに降り立つと宗三の背中を追いかけるように滑りだした。
「薬研くん、これで合ってます??」
「あぁ、大丈夫だな…立てるか??」
スケート靴をちゃんと履けたかどうかを薬研に見て貰うと須美佳は不安そうな顔をしながら。
「えっと……あの、私…スケートが全く駄目みたいで、すぐ転んじゃうんです」
「そうなのか??
じゃあ俺が教えようか??」
「いいんですか??
でも薬研くん滑れるんですよね…」
「滑れるからこそ出来る事もあるんだぜ、あと勉強教えてくれたお礼もあるし」
ベンチから立ち上がり薬研は須美佳に手の前に手を伸ばすと、その手に掴まり須美佳もベンチから立つがその足元はフラフラとしていて不安定そうだ。
リンクの入口の壁に須美佳の空いた手を添えて上げるとやっとバランスが取れたようで薬研の手を離しても一人で立てた。