第23章 ふたつの恋のシグナル・前編(宗さに・薬さに)
「着きましたよ…
僕は車庫に行ってきますので…中に入って待ってて下さい
薬研…鍵を渡しておきますね、客間の場所は覚えてますよね??」
「あぁ…覚えてる、分かったぜ」
そう言って薬研に鍵を渡すと3人を降ろした車は発進していく。
『後輩くんはここに来たことあるの??』
「あるぜ、って言ってもここ最近は全くなくて…小さい頃に弟のお小夜の遊ぶときについててたぐらいだな…同い年で近所なんだ」
『左文字先生って弟くん居るの??』
「弟と兄と居るぜ」
『なんか意外だな…左文字先生って謎なんだよな…』
「あの…早く入らないと左文字先生に怒られないかな……??」
「電車の時といい、俺ら立ち話し過ぎだな…」
『そうだね…須美佳ちゃん、ごめんね』
玄関のドアに鍵を差し回すとカチャと音が鳴り、扉を開けると玄関ホールの大きさに驚きつつも、スリッパが4つ分並べられて靴を脱ぎ履き替えて薬研を先頭にして進んでいく。
客間に着くと温かいお茶と茶菓子がテーブルの上に4つ分が置かれて、宗三が来るの待たせてもらう。
「お待たせしました…
僕は車の運転で疲れてるので…ひと息ついてから部屋を案内してもいいですか??」
『左文字先生の都合がよくなってからで大丈夫だよー』
「…お菓子とお茶まで用意していただいてありがとうございます」
「宗三、お小夜の姿が全然見えないんだけど…これ用意してくれたのってお小夜だよな??」
「多分そうですね…
でも薬研以外の人が来ると伝えてるの緊張してるかもしれないですね」
「探して来てもいいか??
久しぶりに会いたいし」
「はぁ…それは部屋の案内が終わってから勝手にやってて下さい」
宗三が椅子に座ってから数分後…。
「行きましょうか」そう言って宗三を先頭に歩き出すと、客間から出てすぐ階段を上がると左右別れる廊下を右に進むと部屋が二つ並んでいた。
「如月さんと秦さんの部屋がこっちですね…どちらも同じ広さでシャワーとトイレにベッドがあります
好きな方を使って下さい…」
『どっちがいいかなー須美佳ちゃんは??』
「私もどっちでもいいよー」
『じゃあ奥の部屋がいいかなー』
「私は手前の部屋で決まりだね」