第22章 ちいさな初恋と潮騒と(北谷菜さに)
北谷菜の顔が近づくと香澄の唇にチュッと音が鳴り…お互いの唇同士はなかなか離れる事はなくて…ピチャリと口内を響くと舌先が優しく包み込む心地よさにうっとりしてしまう。
『………んっ…ッ…、北谷菜くん…なんでキス…なんか思い出しそうだけど…』
「……恥ずかしそうだね、顔が真っ赤な香澄ちゃん可愛いね」
『……だってさ…そういうところが見た目じゃなくて、北谷菜くんの格好良くて…惹かれたのかなって思って』
「それは嬉しいね……初恋の相手にそういわれるのはさー」
『えっ……それってどういう…?』
「言葉のまんまさ…」
『私の事待っててくれたの…?八年も…』
「ずっと待ってるつもりでね…
そのおかげでちょっとだけ背も伸びたしー
大人にもなれたからね」
『…忘れててごめんなさい…』
「……これを受け取っておれのお嫁さんになって…これから一緒に居てくれるなら…それでいいさー」
そういうと香澄をその場におろし、左手の小指にはめていた指輪を取り差し出すと…
『……??指輪?』
「サイズとかまったく分からないわけで
これならサイズ感とか関係ないからね
いつでも渡せるように身に付けてた二つ分…」
『……私も北谷菜くんと一緒に居たい…お嫁さんになる
…あっ、付けてくれる?付けて欲しい…』
指のサイズが合うか少しだけ不安そうに香澄の左手の小指に付けるとピッタリはまった。
「じゃあ次は左手の薬指に合う指輪見に行こうねー」
『うん……一緒に選びたい
でも私まだ十八歳だから…学校卒業しないと』
「それくらい待てるさー八年も待てたから、なんくるないさー」
『あっ…海の家に戻らないと…千代金丸さんと治金丸さんが店番かわってくれたの』
「じゃあ一緒に行こうね」