第22章 ちいさな初恋と潮騒と(北谷菜さに)
ゆっくり少しずつ話をしてくれたのは…
香澄を抱き抱えたまま海の家に到着すると香澄の父と母と千代金丸と治金丸の4人が迎えてくれた。
これでおれの役目も終わった、そう思った時に香澄ちゃんが泣き始めて…。
『ふぇ……いやだぁ…、かえりたくない』
「どうしたー?」
『北谷菜くんといっしょにいるの…いたいの…はなれたくない』
「じゃあ次会った時はおれのお嫁さんになってくれるかねー?」
『うん!!わたしなるよー』
最初は泣き止んで欲しいと思って、咄嗟に出た言葉に泣くのを止めて笑顔になるとおれの目の前に香澄ちゃんの顔が近づくとそのまま小さな唇がおれの口に触れて、チュッと音を立てるとすぐ離れていった。
「……!!…どぅまんぎた!?」
『だっておとうさんとおかあさんがケッコンしたらキスしていいんだよって言ってたもん』
香澄の親御さんはスキンシップで普段から目の前でしてるらしく…大人の苦し紛れの言い訳にすっかり信じてる様子で香澄ちゃんはキョトンとして居て、香澄の父は娘はやらん!!と言いたげな表情で香澄の母はその父を止めるのに必死そうだった。
北谷菜が喋り終えたのを聞き終わった香澄は驚いた表情で少し顔を赤らめながら…
『……えぇえぇ…!?私…北谷菜くんにキスしちゃったの…?』
「……会いに来ないから嫌われたかと思ってさ」
『勝手にしたのは私だし…嫌いじゃないよ…さっきも言ったけど北谷菜くんに会いたかったんだもん
でもなんで覚えてないんだろう…』
「こうすれば…思い出すかね」
そう言うと香澄の身体を持ち上げてお姫さま抱っこし始めると
『ひゃ!?北谷菜くん重いでしょ?』
「……ぜんぜん重くないよ、ちょっと黙っとこうか」