第22章 ちいさな初恋と潮騒と(北谷菜さに)
『あの、北谷菜くんは居ますか??』
「北谷菜切??あれ…さっきまで居てたんだけどなぁ」
「キミさぁ…ちぃ兄(にぃにぃ)が助けたあの時の女の子…香澄ちゃんじゃない??」
『えっ??私の事を知ってるんですか??』
イケメン揃い三兄弟の海の家で雑誌にも特集されてた事があって…名前は千代金丸、治金丸と兄弟が居るのは知っていたが面識はないと思っていたので自分の名前を知っていた事に驚いていた。
「……ん??俺達の事、覚えてない?
北谷菜切と離れたがらなくて…あんなに泣いてたのに」
「アレも覚えてないってことか…ちぃ兄が可哀想かも」
『へぇっ!?私何かしたんですか…??』
「それは俺達の口からは言えんのさ…北谷菜切に聞いて」
『でもこれからまた戻って海の家の店番しないと…』
「オレ達が代わるからちぃ兄の話を聞いたってさ…」
そう二人に催促されるものだから、その言葉に甘えて北谷菜くんを探しに行くと…。
自分が助けを求めた海辺の近くで座ってる姿がみえて歩みを進めていくと、私が来る事が分かってたかのようにスッと立ち上がり…少しだけ背が伸びたようで八年前とは違って大人の男性がそこには居た。
「やっと来てくれたね…
香澄ちゃん大きくなったなー」
『あの…八年も会いに来れなくてごめんなさい…
私…海で遊びたいって約束を守りたくて…でも水を見ると怖くて足が震えて…
そんな状態だと北谷菜くんに会えないと思って…』
「海の事ならおれに任せたらよかったのに
いくらでも力になるつもりで居たからね
もう一つの約束が嫌で来ないんかと思ってたよ…」
『その事なんですけど、私…海の家で千代金丸さんと治金丸さんに会った事を覚えてなくて…何か北谷菜くんと海の事以外で約束したんですか…??』
「………って、覚えてないん!?
いやぁ……あんまり自分の口から言うのは恥ずかしいんやけどね…」