第22章 ちいさな初恋と潮騒と(北谷菜さに)
岸辺に寝かされた私を心配そうな顔で覗き込んでた。
「おっ!気がついたねー、ふぃーじー??」
『………こわかったよぉ』
身体を起こすと先ほどまで動かなかったか身体が動く事に助かったという実感して、涙がポロポロと流れだし思わず抱きついてしまった私を最初は驚きながらも腕を後ろに回して優しく背中をトントンとリズムを刻んでくれた。
「みんな心配してるかも、名前言えるかねー??
おれ北谷菜切さ」
『香澄……』
「香澄ちゃんかー、自分の名前言えたぁ、えらいね」
香澄の頭を撫でながらかりゆしウェアの胸ポケットから鳴っている携帯電話を取り出す北谷菜。
〈もしもしー、千代金丸どうしたぁ?〉
〈今ぁ、女の子とはぐれたっていう親御さんがこっちに来てるんだけどぉ…近くに居ないかね?〉
〈あっ、香澄ちゃんね、
少し波に流されとって保護したところぉ…そっちで待ってもらおうかね〉
〈親御さんに伝えとくから、こっちに来てね〉
〈分かたんさぁ〉
「香澄ちゃん、お父さんお母さん心配でおれのところに居るから一緒に行こうかぁ」
香澄の手を繋ぎ歩き出そうとした北谷菜は履き物を身につけて居ない香澄に気がつきお姫様抱っこをして歩き始めた。
『…えっ??なんでだっこしてくれるの??』
「ケガすると危ないからさー」
『……ありがとう』
「海のこと嫌いにならんでねー
香澄ちゃんと遊びたかっただけみたいやから」
『…つぎ会えたら、海で北谷菜くんといっしょにあそびたい』
「いつでもええよぉー」
不安そうな顔を浮かべて居た私に太陽の笑顔とピンク色の長髪が風に靡いて両方光り輝いてみえた…。