第19章 猫と彼とアタシの恋模様(肥前さに)※R18裏
肥前の言葉に安心したのか胸を撫で下ろすと…香澄の身体に異変が訪れる…頭からはネコの耳がピョコンと出てくる。
香澄自身は気づいていないその様子に"本物なのか?"と確かめたくなり肥前は香澄のネコの耳へ触ると…先ほどまで抱き上げて身体を洗っていた猫の感覚そのもので…少し芽生えたイタズラ心でピッと引っ張ってみるとボワッと白い煙が香澄の周囲を覆い、視界が晴れると猫の姿になっていた…。
『にゃぁあぁ~!?(なんで!?また猫になっちゃった)』
「……なんとのう分かったばってん、おれがおまえにキス…したら人に戻った。
なんとのう気になって引っ張った耳ん猫に戻るきっかけになったんごたっばい…明日は病院に連れて行く前に先生に連絡しとくか…なんて言わるっじゃろ…」
そう言うと肥前は猫(香澄)を抱き上げると自身のベッドに潜りこみ、寝る準備をするらしい…。
『にゃあ……(ジタバタしても仕方がないって事かな、でも寝て起きたら夢だったってならないよね…)』
不安そうな鳴き声が響く中で一人分の寝息が聞こえる…。
***
日差しが差し込む朝、目覚めると香澄の視界は変わらず猫のままだった…。
猫の耳は色んな生活音が人の時とは違って澄んで聞こえた。
忠広くんはまだ寝てるな…
アタシに何か出来る事…朝ご飯??
でも猫のままだと出来ないし、寝てる忠広くんにキス…しないとダメなんだよね…。
男の人とするの初めてだから…元カレでもなんかイヤで避けてた…。
忠広くんだとイヤじゃなかったのは何でだろう…??
早くしないと起きちゃうかな…。
肥前の口元へ自分の口を近付けると軽く触れたあとに香澄の周りを白い煙が包み込み人の姿になる。
恥ずかしさにすぐさま離れると…肥前は起きる様子もなくホッとする香澄。