第18章 彼のスイッチ(松さに)
足が縺れ床に手を付いて転ぶ寸前で教室の引き戸を開けて教卓の裏に身を縮こまって隠れていると…。
足音が徐々に近づいて来て閉めたはずの引き戸が開き、教卓に近づいてくる…。
「フフッ……見つけた、手擦りむいてるよね?
保健室行くよ…」
『なんで、なんで分かるの??』
「……血の匂いが呼んでたんだよ」
『そんなにあたし臭いかな…??』
「…僕が興味あるのは他の誰でもない、如月さんだけなんだけどな…」
『えっ…??松井くん、何か言った??』
「何でもないよ…立てそう??」
『走り過ぎたみたいで…今ちょっと動けないかも…』
「僕に掴まって……」
『へぇっ!?……やだっ、松井くん降ろして』
急に視界が高くなった思ったら松井に抱えられ香澄は驚いて足をジタバタと動かし諭すが…降ろす気はなくそのまま歩みを進めると今まで聞いた事のない低い声で松井はぼそりと呟いた。
「如月さんを置いていけん……
最初から僕に怪我ん具合ば見せてくれたら
こぎゃん事になっとらんのに…
それで今こぎゃん形になっとるけん
そん状況ば分かっとって言いよる??」
《……怒ってる、方言で話する松井くんとか
レアかも…大人しくしとこう》
保健室に着いて香澄は椅子に降ろしてもらい、ふと見ると松井の白いTシャツが赤いシミで汚れている事に気がつく。
香澄の右腕の傷口が開いて、カーディガンの編み目を通って松井の身体にもたれ掛かって運んでもらってる最中に付いたんだと…。
『松井くん、早く脱いで!!
急いで洗濯しないと血が落ちなくなっちゃうから』