第16章 ○○しないと出れない部屋(小竜さに)※R18裏
『(手が…!?止めたら変に思われるし…
あぁ…もう顔が近いよっ…)
あの…どうですか??』
「いいんじゃないかな…美味しいよ」
『それなら良かったです』
「あとは僕と小夜ちゃんでやっておくから、
主は下がっていいよ」
『小夜くんは遠征帰りですが大丈夫ですか??』
「僕なら大丈夫ですよ…着替えてきますね」
このまま何も変わらない日々が続くと思っていた。
***
香澄の本丸で直隆の引き継ぎ後コツコツとやってきた…池田屋を撃破し刀剣男士を強くさせたいと修行に行かせる事が少しずつ増えて、今日は燭台切を修行へと送り出す準備をし…修行のゲートまで燭台切と香澄は向かっていた。
そのゲートの前に見慣れた姿が一人…小竜だった。
「俺を先に修行へ行かせてくれないか?」
『えっ!?…でも』
「僕は小竜くんが先でも構わないよ
決まったら呼んでくれるかな…?」
そう言うと修行に送り出すゲートから燭台切は一人離れて行くと…
「で、キミはどう思う??」
『…いかないで、お願い…小竜さん…』
小竜のマントを握りしめ…ポツリポツリと瞳から流れる涙。
いつもフワフワしながらも絶対自分の側を離れなかった小竜さんだったから…彼の口から修行に行きたいと言う訳がないと思っていた…
心の準備が出来ていない…
主として送り出さなきゃいけないのに…。
「心配しなくても、俺はキミの元へ
帰ってくるから…必ず…これ預かっといて」
小竜は長い金色の髪を結んでいた赤い紐を解き…香澄の髪を撫でて瞳を見つめながら告げると…こくりと頷き、小竜のマントから手を離し紐を受けとる香澄。
小竜は振り返る事もせず修行のゲートへ進む…。
小竜から預かった紐は香澄のブレスレット代わりに…長さはあるが切る訳にもいかず…何重かにして漸く手首のサイズにあった…。
長くも短くもある…小竜が居ない三日間を過ごし…共に過ごせぬ日々も小竜から預かった紐がお守り代わりで安心したからだ…。