第16章 ○○しないと出れない部屋(小竜さに)※R18裏
そして刀剣男士と香澄との本丸の生活が始まったのだが…主(父親)を亡くしてすぐの頃は、一人で寝る事に怯えていた香澄の側で寝るように…ただ成長するにつれて、その添い寝する行為を断るようになり…。
"景光くん"という愛称もいつの間にか"小竜さん"へと変わっていった。
六歳で何も出来なかった少女が…十六歳になった頃には審神者(主)である自覚を兼ね備えて戦略や手入れもこなせるようになった。
それから更に四年という月日は流れて、二十歳の女性に身体も所作も成長し…凛と佇むその姿は柔らかく、キミに惹かれるのに時間は掛からなかった。
近侍になった時には側を離れずに…近侍以外の時は姿を隠し、片時も見守る事に徹して…その中で気がついたのは同じ長船派の"燭台切光忠"の存在は古株の自分よりも審神者との距離が近くて…気に食わなかったが…ただ一人の審神者として接する刀剣男士でいた…。
『小竜さん??どこ行ってたんですか…』
「いつもキミの側に居るよ、姿は出さなくても」
『今日も遠征に行ってもらいたいんですが…』
「俺を旅に出させるの好きだね
遠征に行ってる間は燭台切が近侍だったか…見かけたら声をかけようか?」
『私から光忠さんに声を掛けてるので大丈夫ですよ』
遠征帰りに何度も目撃してしまった燭台切に笑顔を返しているキミに…俺の前だと見せない表情で羨ましくて、しかも光忠さんって呼び方が自分に差をつけられてるようで…俺が近侍じゃない時に"燭台切を指名しないで欲しい"と言えたら楽なのに…言えるはずもなく遠征の準備へ向かう。
香澄が遠征時に燭台切を近侍するようになったのは些細な事だった。
小竜の部屋前で右往左往しながら香澄が入るか入らないか迷ってる姿を燭台切に見られていたからだ。
"僕で良ければ何でも聞くから相談してね"
どうしたら小竜さんと上手く話せるだろうか?
主としか見られて居ないと知りながらも…
いつもふわふわして掴みどころのない…
そんな彼を刀剣男士としてではなく恋心を抱いてる私が居た…。