第16章 ○○しないと出れない部屋(小竜さに)※R18裏
とある本丸の審神者が使用する寝室から息苦しそうにして布団で横たわる男性が一人と近侍である刀剣男士が側に居て固唾を見守る。
「小…竜、僕…の む す、め を…頼、む…」
「あぁ、わかった…必ず守るよ」
その言葉に安心したのか、瞳を閉じたきり…重く閉じた瞼は二度と開く事はなく…。
部屋の入り口の襖の前に一人の少女が立ち尽くし…出て来た小竜へと問いかける。
『かげみつくん、ねぇ、お父さんは…??』
「主は…もう…逝ったよ」
『うそだっ、だってお父さんはずっと香澄といっしょにいてくれるっていったもん!!』
慌てて一室に入る香澄…。
そこには大好きな父親の変わり果てた姿に…涙を溢していた。
『イヤぁあ゛ぁあぁ~~!!お父さん、おとうさん、へんじして…わたしをおいて…いかないで……』
横たわる父親の布団へ突っ伏し泣き崩れ落ちる香澄に、小竜はただ何も言わず正座をして香澄の横に居る事しか出来なかった。
人の命はこんなにも脆い…主の変わりに俺の全てはキミの物へと注ぐから…。
***
香澄を産むと同時に母親は命を落とし、直隆は娘の香澄を片親で育てる事を余儀なくされたが…それは想像以上に困難で…仕事の拘束時間が長ければ娘を育てる時間がなく、拘束時間を短くすれば二人で生活するお金が足りず…審神者として働く代わりに時の政府から援助してもらいながら男手一つで育ててきたが香澄が三歳の時には直隆は自身の病気を患い余命宣告をされていた…長くて三年しか持たない。
娘への愛情とそれをサポートしてくれた刀剣男士のおかげで楽しく過ごす事が出来た幸運に直隆は娘を託す事を決めていた。
審神者"直隆"死亡により本丸を一時期休眠として特別処置として娘"香澄"が引き継ぐものとする。
六歳の香澄では刀剣男士の手入れや戦略を練るのは困難と判断され、十六歳になるまで禁止とした。
・遠征と演練のみ日課に過ごす事
・顕現された刀剣男士と本丸で暮らす事