第1章 逃げられない
その日から、担当マネージャーがついた。女性で、妙に色気のある人だった。
「わたし、マネジメントとか全然わかんないんだけどお、ちゃんを色っぽく仕上げてってお願いされてるから頑張っちゃうねえ?」
私服で用意される服は会社の経費から落ちるという事で喜んだのも束の間、露出の多い服や、歩きやすい靴よりもヒールが高く、形を重視した足が疲れそうな靴ばかりが用意される。
一週間に何度もエステに通わされ、足の疲労が軽減される事だけがありがたかった。
まぁ、こんな格好をさせられなければエステに行かなくて済むからマッチポンプなんだけど。
Re:valeを落とすという仕事はすごくお金がかかるものだったが、投資とはそんなものと言い切る新社長の豪胆さには目を見張るものがある。
色々な改革を進める新社長のもと、ツクモプロダクションはかつての勢いを取り戻しつつあった。
「あとはあ、オトコへの奉仕の仕方なんだけどお……」
言わなくても新社長にもマネージャーにもバレてるんだろうが、私は処女だ。ハタチ超えてそこそこだが、キスくらいの経験しかない。それも、田舎の初々しいカップルがするような軽いものだ。
「きっと、手馴れたオンナより、何もわからないようなオンナの方がアイツらは興奮するだろおって社長さん言ってたから」
そこは流されて頑張ってね!と変な激励をされた。
マネージャーとして付いてくれているこの女性――マキさんとも2ヶ月も行動を共にすれば自然と打ち解けていき、マキさんも私のことをちゃんと呼んでくれるようになった。
「うんうん、わたしはマネージャーとしてしか付いてあげることが出来ないけどお、今のちゃんなら寵愛間違いなしだよ!」
そして、マキさんに手を振られる中、新社長――了さんと車に乗り込み、Re:valeと初対面する運びとなった。