第25章 幻想叶は幻を見る
【幻想叶side】
…あれ、何だか暖かい。
懐かしい匂いがする。
名前を呼ばれている気がする。
この声は、
この声は……
相澤先生だ。
幸せな、やわらかい雰囲気に包まれて
私の意識は薄れていった。
_______
目が覚めると、視界に広がったのは知らない天井だった。
「……? …んッ!!痛ったい……!」
状況を確認するより先に酷い頭痛がする。
なにこの頭痛…それに気持ち悪い……
頭を抱えそれらと格闘しているとどこからか声がした。
「それが二日酔いってやつだ」
声の方を見ると髪を後ろでまとめ、
コップに水をいれる男の人の姿があった。
目を疑った
相澤先生がいる…
なんで…?どうして?
幻覚?
「え、なんで、いるんですか、?」
そう私が聞くと相澤先生は私に水を手渡した。
「…二日酔いにはとりあえず水だ、飲め」
「……は、はい。ありがとうございます。」
そう言ってコップに口をつけると相澤先生は続けて
「あと、正確には“いるんですか”じゃなく、お前の方が“ここにいる”だ。」
そう言われ私は部屋を見渡した。
部屋にはベッドと小さなデスクがあるだけで
他に目立った生活雑貨はなかった。
私の部屋じゃ…ない。
私が少しずつ状況を吞み込んでいると、
相澤先生はベッドの端に腰かけた。
「昨日の事、覚えてないのか」
そう言うと先生は頭を掻いた