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相澤消太は不健全に恋をする

第24章 二人の時間は動き出す


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プルルルル…

しばらくメロディが流れるが出る気配はない



やっぱり寝ているか…
そう思い切ろうとしたとき、おもむろにメロディが切れる。



出た。
起きてたんだ。



しかし少し待っても話し出す気配はない。
俺は小さく深呼吸をして



「もしもし、相澤ですが」
とだけ口にした。


すると電話越しに
「……あいざわ…せんせい?」
と声がした。



少し戸惑うその声を聴いて、一瞬で全身が熱くなるのを感じた。

幻想だ。
幻想の声だ。



「…ああ、久しぶりだな。悪いこんな時間に、寝てたか…?」

「……んん…、せんせい……」


いまいち話が嚙み合わず、幻想の様子がおかしい事に気付く。



「おい、どうした幻想、大丈夫か」
そう聞くと


「……さっきまでみんなで飲んでて…、帰り道で……いますごくねむいです……」

呂律の回っていない口調でそう言われた。



「お、おい、今どこにいるんだよ。そこで寝るんじゃねえぞ」


帰り道ってことは今一人なのかもしれない。
こんな時間に夜道で寝ていたら、何をされるか分からない



久しぶりに声を聴いた興奮から、一気に心配に変わった。


「……いまは、んーと…〇〇駅の近くで飲んでて………公園の近くの……コンビニに行く途中で……」


曖昧な情報なだけに俺の心配は大きくなる。



「おい!起きろ幻想!…そんな場所で寝るんじゃない!」
そう叱っても電話越しには声が聞こえなかった。



「おい、おい!」

何度か声をかけるが応答はない。
代わりに微かに寝息が聞こえてきた。



路上で寝たのか、この時間に。
まじかよ。危なすぎるだろ。




「…あいつはほんっとに……!」












色んな事を考えるより先に
俺の足は幻想の元へ向かっていた。
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