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相澤消太は不健全に恋をする

第22章 幻想叶は大人になる


それを見届けてから
「……アイス…食べたいな」と私も歩き出した。





夜道は嘘みたいに静かで
先程まで人といたからなのか、何だか物悲しかった。




ひとりになると私の頭は自然とあの人の事を考えてしまった。



出会った時の綺麗な目
私の名前を呼ぶ声
握ってくれた大きな手
私はヒーローになれると言ってくれたこと




色々な事を思い出して、
無意識に涙が大きな粒となって目から零れる。




ああ、会いたい。





普段から考えないようにしているそれは
ぼんやりとした頭では止めることができない。










緑谷君がなぜ私を振ったのか今ならわかる。
私はことあるごとに相澤先生の姿を思い出していた。


プロヒーローとして活躍する中、
見ていて欲しいと思うのは緑谷君ではなかった。


…それを分かってたんだ。





ひとしきり涙を出し終え落ち着くと
意識は益々ぼんやりとして、急に眠くなってきた。



どうしよう…すごく眠い…歩けない…









プルルルル……

急激に私を襲う眠気と格闘していると携帯が鳴った。





道路端の塀にもたれかかり携帯電話を取り出すと
画面には見慣れない番号が表示された。


私はしばらくその着信を無視していたけど、相手はなかなか切らない

仕方なく私は朦朧とする意識のまま電話に出た。



















「もしもし、相澤ですが」

吸い込まれるような眠りの前に聞いたその声は
とても懐かしく、優しい声だった。

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